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水辺のゆりかご
[著者名] 柳美里
[出版社/発売日] 角川書店/97.02.01
[ISBN] 4048834649
[種類] 単行本  [ジャンル] エッセイ  [おすすめ度] ★★★ 

表紙1

--書評--
柳美里は人生を切り売りする作家だ。切り売りするというと言葉は悪いが、自分の歴史を糧にして文章を綴る作家は数いれど、彼女ほど赤裸々に過去や私生活を作品にする人は、現代では珍しいのではないか。
まったくフィクションである小説も書いているにもかかわらず、最近の彼女は私小説作家という印象が強い。

本書は`97年発行、当時ようやく30歳を迎えようかという柳美里の早すぎる自伝的エッセイである。
在日韓国人であること、家庭が貧しかったこと、学校でいじめられていたこと、両親の不仲……、幼児期から青春期まで、著者は自伝に載せるエピソードには事欠かない。
“すべては「事実」であり、「嘘」である”と、あとがきに記されている通り、全編が事実ありのままではなく、作品として多少デフォルメされた部分はあるのかもしれないが、しかしそれにしても「不幸のオンパレード」。
平均的な日本の中流家庭に育ち、平均的に生きてきた人では体験しえない出来事が並べられている。

少女(当時の著者)の特異なキャラクターのせいなのか、それともどこからか現れる宿命のような大きな波の仕業なのか、成長するにつれ家と学校に居場所をなくした少女は、数度の自殺未遂にまで走った。
外界に対する神経質なまでの敏感さ──多分、彼女は敏感すぎたのだ。
小学校でお漏らしをしてしまったとか、好きな同級生(ここでは同姓だが)に相手にしてもらえなかったとか、誰の思春期にも思い当たりそうなことも、著者の筆にかかるとなぜか残酷さを増すのは、今も彼女がその敏感さを持ち続けている証拠だ。この作品では、少女の目に映る日常のすべてが、歪んだ世界として描かれてる。

記入日時 2002/08/16/06:51:56  No.15

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